[ カテゴリー » 日 記 ]

とても寐附かれそうにはない

 純一は取ってある床の中に潜り込んで、じっとしている。枕に触れて、何物をか促し立てるように、頸《くび》の動脈が響くので、それを避けようと思って寝返りをする。その脈がどうしても響く。動悸《どうき》が高まっているのであろう。それさえあるに、べろべろの神さんがしゅうねく祟《たた》って、呪文はいよいよ高く唱...

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福住の戸口

[#5字下げ]二十四[#「二十四」は中見出し]

 福住の戸口を足早に出て来た純一は、外へ出ると歩度を緩めて、万翠楼の外囲いに沿うて廻って、坂井夫人のいる座敷の前に立ち留まった。この棟《むね》だけ石垣を高く積み上げて、中二階のように立ててある。まだ雨戸が締めてないので、燈火《ともしび》の光が障子にさ...

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磐石糊

「磐石糊というのは、どんな物でございますの」と、奥さんが問うた。「磐石糊ですか。町で幾らも売っていまさあ」「わたくしあなたが上野の広小路あたりへ立って、かなぶんぶんを売っていらっしゃる処が拝見しとうございますわ」「きっと盛んに売れますよ。三越なんぞで児童博覧会だのなんのと云って、いろんなおもち...

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