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福住の戸口

[#5字下げ]二十四[#「二十四」は中見出し]

 福住の戸口を足早に出て来た純一は、外へ出ると歩度を緩めて、万翠楼の外囲いに沿うて廻って、坂井夫人のいる座敷の前に立ち留まった。この棟《むね》だけ石垣を高く積み上げて、中二階のように立ててある。まだ雨戸が締めてないので、燈火《ともしび》の光が障子にさ...

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磐石糊

「磐石糊というのは、どんな物でございますの」と、奥さんが問うた。「磐石糊ですか。町で幾らも売っていまさあ」「わたくしあなたが上野の広小路あたりへ立って、かなぶんぶんを売っていらっしゃる処が拝見しとうございますわ」「きっと盛んに売れますよ。三越なんぞで児童博覧会だのなんのと云って、いろんなおもち...

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画かきの悪口

「小泉さん。あなた余りおとなしくしていらっしゃるから、岡村さんが勝手な事ばかし仰ゃいますわ。あなたの方でも、画かきの悪口でも言ってお上げなさると好《い》いわ」「まあ僕は廃《よ》しましょう」純一は笑《わらい》を含んでこう云った。しかしこの席に這入ってから、動《やや》もすれば奥さんの自分を庇護してくれ...

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